
1)対有権者コミュニケーションの質×量の総和を最大化する
■選挙で勝つにはどうすれば良いのか?
選挙:
→有権者とのコミュニケーションの質×量の総和の大きい方が勝ち小さい方が負ける
→選挙とはコミュニケーションの質の維持と量の確保が最優先の取り組み事項となる
■選挙コミュニケーション戦略の構築手法
◎6つの戦略構築視点から分析し決定する
・3C分析=有権者・自分・対立候補
・SWOT分析=強み・弱み・機会・脅威
・ポジショニングマップ
=富裕層⇔貧困層、高齢層⇔若年層
・比較優位
=対立候補には無い集票に寄与する要素の棚卸し
・フレーミング=自分に有利になる枠組みづくり
・プライミング=争点づくりと意図的な世論誘導
→コミュニケーションコンセプトを決定する
■コミュニケーションコンセプトの視覚化と表現プロセス
・出馬意図総括、政治理念策定、主要政策立案
・スローガン、キャッチフレーズの策定
・スローガンロゴの作成
・本人画像の撮影と選定
・イメージカラーの決定
・ビジュアルイメージの統一
・制作ツールの選定と作成スケジュールの決定
・制作ツールへのコンセプトの落とし込みと実制作作業
■制作ツールの表現における2つの重要ポイント
・有権者が日々の生活の中で体現するリアリティと、自らの政治理念・政策とを、どう切り結ぶか、そしてそれを各媒体の中でどう表現するか。
・選挙における広報宣伝物には、常に3種類の読者がいることを想定する。
2)コミュニケーション戦略構築
ここで言うコミュニケーション戦略構築とは、立候補者が選挙本番での集票を目的に、有権者に対して関係性を構築するための、情報発信並びにリアルな人的接触活動における、基本方針を定めるということです。
その際、以下の3つのベースとなる理論に基づいて、候補者の特性、その時の政治的な風向き、選挙立候補地の政治的状況、対立候補の現況等を鑑みて導き出すことができます。
(1)比較優位
(2)フレーミング
(3)プライミング
(1)比較優位

比較優位とは、もともとは経済学者のデビッド・リカードが、提唱した概念ですが、選挙においては
“他候補との比較において優位にある分野をみつけて自らを際立たせる”
とシンプルに理解して頂ければ結構です。
選挙は、もちろん上位当選するに越したことはありませんが、当選することがまず第一の目標であるならば、次点候補者より1票多く集票できれば良いとも言えます。
但し、将来は国会議員や市長を目指すというのであれば、最初の選挙の時から存在感を示すために、より上位での当選を勝ち取ることをお勧めします。
市議選15人定数の1位当選者も15位当選者も、議員としての給料は基本的には同じです。
新人で挑む選挙ではまずは当選することを目標にして、当選した暁には1期4年間の議員生活の中で、十分な実績を積んだ上での2期目への選挙で、より上位当選を目指せば良いのではないでしょうか。
そして本題であります比較優位の作り方ですが、ここで前項の3つのフレームワークで分析考察した、自分自身の棚卸しの作業が活きてきます。
自分にあって他候補、特に競合しそうな対立候補にはないもの、且つ集票に繋がる要素は何なのかを、炙り出します。
その要素はある時は、唯一の20代女性候補となるでしょうし、ある時は唯一の自衛隊出身候補となるのでしょう。
ひとたび自分の比較優位要素が定まれば、あとは徹底的にその要素を、あらゆるツールを総動員してアピールするのです。
(2)フレーミング

フレーミングとは行動経済学の用語で、物事は見る角度や判断する角度によって、見え方の印象がかなり変わってくるというものです。
選挙においては、自分優位の争点を有権者に示すことで、大きく集票に結び付けるという効果が、期待できます。
その最たる例は、小泉郵政民営解散総選挙です。
あの時の日本は、必ずしも郵政民営化だけを政治的争点にすべき状況でもなかったわけですが、他の政治及び経済課題はひとまず脇に追いやり、郵政民営化=官僚支配からの脱却という構図を示し、その選択を国民に委ね、自民党を中からぶっ壊すという、そのわかりやすいメッセージと、小泉劇場と呼ばれたパフォーマンスとともに、存在感を発揮し結果自民党は選挙に勝利しました。
地方議会の選挙においても、住民の多数意見を汲み取りながら、自分有利の争点をつくりだし有権者に提示するという手法が有効です。
(3)プライミング

プライミングとは認知心理学の用語で、
「先行する刺激の脳における受容が、後続する刺激の処理に無意識的な促進効果を与える」
というものです。
この心理作用は、どのように選挙戦で応用できるのでしょうか。
いささか古いお話しになりますが2012年の民主党政権下での衆議院選挙を振り返ってみましょう。
ご承知の通り、この選挙で再び自民党は比較第一党となり、政権を奪取しました。
“日本を取り戻す”というスローガンを全面に掲げ、震災以降我が国は正真正銘の大きな危機にあると、国民に訴えました。
その原因は、他ならぬその3年前に政権を担うことになった、民主党の無策ぶりにあり、まずは経済を取り戻す(=景気を良くする)ことを国民の皆様にお約束しますと、多くの生活者における最大の関心事項である景気回復を、最大の政策の柱として選挙戦に臨みました。
つまり、景気の回復(=デフレ円高の脱却、成長戦略、所得向上等)の実現を望むのであれば、再び自民党に政権を取り戻させて欲しいと、強く主張したのです。
その時の政策パンフレットには、“危機的状況に陥ったわが国の経済を立て直します”と書かれていました。
このままでは日本はとんでもない事態になるという、危機意識を存分に煽り(事実その通りなのですが)、安定を期待する国民を投票所に向かわせ、多くの有権者に自民党若しくはその候補者の名前を投票用紙に記入させることに成功したのです。
これは、本来のプライミングの定義とは異なる関連付けではありますが、危機意識の植え付けというプライマー(=先行意識)のあとに、ターゲットとなる安定志向という刷り込みを、マスコミやメディアなどをも巻き込み利用しながら、再び政権の座を奪還したのです。
